インターネット活用による保険流通システムを開発
-保険新時代への潮流-

新日本保険新聞(損保版) 1998年10月12日掲載


(有)グループマフの代表取締役・田村俊和氏はインターネットを活用した「トータル保険流通システム」を研究・開発し、販売する潟fジタル・インシュアランスを十月に設立した。このシステムである「まふまふネット」にリンクした提携代理店のホームページに、お客さんが一定の項目を入力すると、即座に保険の設計や保険料が表示され、画面上で申込みの予約などができる。このシステムは来年早々に本格稼動するが、当面は自動車保険が中心となる。

ホームページで保険設計・会社設立しシステムを販売
 田村さんは平成元年四月に大手建設会社を退職し千代田火災の販売研修員となった。もともとお父さんが代理店をしていて、それを引き継ぐ形となり、三年に損保代理店として(有)グループマフを設立。マフとはMy Assured Familyの頭文字をとったもの。「私の確かな家族・企業」のグループ、つまり健全な家族、企業づくりをサポートすることを意味する。現在の損保の収保は一億五千万円。  最近、保険業界を取り巻く環境は保険業法改正や日本版ビッグバン、販売チャネルの多様化などめまぐるしく変化し「これまでのやり方で代理店はやっていけるのだろうか」という危機感が田村さんにはあった。
 「これから生き残っていくためのテーマとして消費者に的確な情報を提供し客観的に判断してもらう、いわゆる消費者の利便性にふさわしいシステムの提供は何かといったことを模索してきました」  その結果、以前から利用していたインターネットの活用による市場の開拓に着目し、十月から(株)デジタル・インシュアランスを設立。泣Oループマフが生損保の代理店であるのに対し、この会社は田村さんがめざす「トータル保険流通システム(まふまふネット)の研究・開発と、システムを販売する会社である。このシステムはインターネット利用者に的確な保険情報を提供し、アクセスしたお客さんに自らの条件を入力してもらい、ふさわしい保険の選択をしてもらうもの。まさに田村さんが追い求めるテーマに合致する。
 具体的にはまふまふネットのホームページにアクセスしたお客さんが、表示された項目に自らの条件を入力すれば、保険料の自動計算プログラムが搭載されたまふまふネットのコンピュータに自動的につながり、即座に保険の設計や保険料がホームページに表示される。お客さんには提携代理店が自分で迅速に見積もって表示したように見える。
 これを自動車保険(継続)を例にしてみると、現在の保険の満期日、車の型式、年式、運転者年齢条件、エアバッグ・ABSの有無、現在加入の保険で保険事故があったかどうかなどを入力してもらう。それをもとに車両保険、対人、対物、搭乗者傷害などの保険金額と免責金額を提示し、保険料を表示する。
 その際、できれば最も高い保険料(最もいい補償内容)プランから提示していき、アドバイスを加えて予算にあったものを自分で考えて選択してもらう。その後の流れとしては氏名や住所等の情報の入力、画面による保険料入金手続きをし、申込みボタン(予約)を押すと、申込み内容がインターネットを通じ相互に内容の送信と確認の通知が行われる。申込書により契約手続きをし、代理店はその内容を確認した上で、保険会社に計上され、証券が発行される。(概要図参照)
 このシステムの概要(流れ)の中で、現在のところ、保険業法の認可、商法上、契約の手続き、申込書の返送、証券の送付はインターネットではできず郵送か訪問による。今後のコンピュータセキュリティ技術の進展とネット販売商習慣の確立が待たれるところだ。

拡大するインターネットの市場
 田村さんの分析によると、現在のインターネットの利用者は1000万人(インプレス発表、今年五月現在)で、その中で実際によく利用しているのは300万人程度。しかし、損保や大手企業などではイントラネットの構築が進むなど実務的な利用者が増え、さらに大学生や高校生、OLなどにも普及しつつあることから、今後のインターネット市場は上昇カーブを描いていくという。  また、現在の市場規模を次のように予想する。
 「自動車保険のマーケットをみると、約三兆七百億円。インターネット利用者が国民の一割と家庭しそのうちの100人に一人が利用するとすれば、約三十七億円の市場になります。また、損保全体では約十兆円があり、七割が個人分野として約七兆円、同様の計算で約七十億円の市場があると予想します。生保は単純には比較できないですが、試算すると、損保の約三倍、約二百億円あるのではないかと思います」
 先ほども述べたとおり、まだまだ利用者が増え、この予想数値はさらに高くなっていき、ビジネスチャンスが広がっていきそうだ。
 「インターネットでは人間同士の交流ができないのではないかと思われがちですが、実はその反対で電子メールを使ってのコミュニケーションは活発です。先般、どういうルートで知ったのかドイツの人から日本の保険のことについての問い合わせが電子メールでありました」
 インターネットを通じてのメールマガジンを月に1〜2回発行。事故時の対応など保険に関する情報を提供している。これが好評で口コミで全国の利用者に伝わり、読者が約1300人いる。この中から保険に関する問い合わせがあったり、契約ができたりしている。

代理店経営の効率化図れる
 こうした市場の成長性だけでなく、インターネットの活用により代理店経営の効率化が図れる。例えば、契約更改の際、これまでは更改案内を郵送していたり案内到着後に電話でアポイントをとったりしていたが、これらの流れを電子メールであれば一度ですますことができ、時間と経費の節約につながる。特に商売や会社経営で忙しい顧客には利便性がいい。
「それだけではないです。各保険会社は今、社内や代理店とのネットワーク化を推進しています。これとうまくつなげば、営業担当社員はよほどの重要なことでないかぎり、これまでのようにいちいち代理店を訪問しなくても、電子メールでやりとりすればいいわけです。その分、営業担当社員だけでなく保険会社も業務を効率よくしていくことができます。」

来年早々に本格的稼働-損保7〜8社が提携の意向-
 デジタル・インシュアランス社の代理店営業支援システム「まふまふネット」の本格的な稼働は年明けの来年はじめごろになる。将来的には生損保主要商品の自動計算プログラムを開発する予定だが、当面は自動車保険が中心となる。
 八月下旬に日本経済新聞でこのシステムが紹介され、二週間足らずで全国の代理店や保険会社、他の金融機関などから150〜60件の問い合わせがあったという。
 代理店がこのまふまふネットを使用する場合、今は自動車保険だけだが、自動車保険料自動計算ユニットの使用量が年間10万円。団体扱い自動車保険料計算ユニットは一団体当たり3万円。このシステムを利用して契約ができた場合、契約保険料の2%をデジタル・インシュアランス社に手数料として支払う。逆に提携代理店が地域的な理由などでまふまふや他の提携代理店に紹介し契約が成立した場合、紹介した提携代理店に契約保険料の2%の手数料を渡す。
 各社の保険料については@自社の代理店のみ開示してもいいA提携代理店がみるだけならいいB一般のお客さんに開示し他社との比較をしてもらってもいい(ただし、補償内容の違いの説明機能を付加する)---という段階に分けて、随時、使用の承諾をもらうように取り組んでいく。現在「七〜 八社程度、業務提携の意向をいただいている」とのこと。
 また、インターネットの利用者は全国各地にいる。従って来年早々の本格稼働に向けて、まふまふネットを使用する代理店を全国レベルで増やしていくために、インターネットなどでまふまふネットのPRをし、消費者の利便性に応えていく体制の確立を進めている。
 「私は"顔がみえる近所の代理店とインターネットの結合"ということを考えています。まず、代理店が地域の人たちにチラシか広告でホームページで保険設計や見積もりなどができることをPRします。実際にホームページでやってみると簡単にできる。それが口コミで広がる。ホームページの代理店名を見ると、近所の代理店だ、インターネットを使うなんて進んだ代理店だと関心をひき、代理店としての営業・宣伝効果は大きい。しかもインターネットは"二十四時間営業"でいつでもアクセスすることができます。」
 全く新規にコンピュータを買う人は15万から20万円ぐらいの機種を買い、身近にコンピュータとホームページに詳しい人がいればいくらかのコーチ料を払って教えてもらうのが一番早道だそうだ。まふまふネットでも代行制作はしてくれる。
 「このシステムを使用してもらう代理店の基準をどこにおくのか。収保ややる気、将来性を勘案し、一つの基準として特級(一般)資格を持っている人で、制作したホームページをみて判断していきたいと考えています」
 インターネットを活用した「トータル保険流通システム」は昨年九月から今年二月まで、大阪大学経済学部が主催したベンチャービジネス公開講座で優秀賞を受賞した。
 「インターネットは代理店がこれから生き残っていくためには不可欠なものの一つとなるでしょう。今は利用者は一割程度ですが、今後成長していく市場です。私はこの市場にこだわって商売をしていきたい。できれば消費者の利便性とコンサルタント機能を重視した本質的保険サービスを提供できる企業として一定の地位を築いていきたい」

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